27e26127.jpg ブログ「アキバ経済新聞」に「くろすろ〜ど」の閉店の理由として需要とサービスのズレという記事が上がっていました。この理由は札幌のメイドカフェ「プリムヴェール」も近いので、一見納得できそうな感じですが、よくよく分析すると、また違う面も見えてきます。

 今回、リフレとカフェの複合店である「くろすろ〜ど」の閉店という話が表に出ることが多いのですが、くろすろ〜ど関連としては2度のメイド系店舗の閉店を経験しています。ひとつは2007年1月に当時銭谷ビルのB1Fにあったカフェくろすろ〜どを閉店し、翌月リフレの店舗と統合しました。もうひとつはリニューアルしたマインドガーデンへの参加。いわゆる萌えサービスに特化したお店でしたが、ロケーションに恵まれず3月に閉店となりました。このことから当初からカフェに関しては、経営的には苦しい状況だったといえます。

 2006年7月のオープン時には、外神田1丁目という観光客向けのロケーションの中、常連重視のお店でどう常連さんを獲得するのがカギと書かせていただきましたが、移転後は観光客向けのメイドカフェの@ほぉ〜むグループと同じビルとなり、撮影や修学旅行生向けのサービスを打ち出し観光客向けへの方向転換を図ろうという試みはありました。これも元々のサービスとは乖離できないという大前提があり、思い切った観光客向けのサービスと認知されないという不利さは確かにありました。

 アキバ経済新聞での店長のコメント「自店の提供するサービスと、秋葉原を訪れる観光客の方々が求めるメードカフェのサービスイメージに差があり、需要に合わせる余り本来行いたかったサービスとのズレが生じたため」が本心であれば、観光客向けのサービスを当初から想定していなかったので、もし観光客を相手にするのであれば、根本的に変えていかないと閉店は時間の問題だった、と。

 では、なぜこのタイミングでの閉店なのか?

 ひとつはカフェではなくリフレでの収益の悪化。秋葉原全体では喫茶よりリフレ系の売り上げが悪くなってきています。7丁目のキセキでも基本リフレの話題は取り上げていませんが、喫茶や居酒屋、バーと違い、客とWRの1対1のサービスはメイドに拘る理由もメイドが好き以外にはなく、飽きが早いということがあります。だからリフレ一本に戻しても改善は難しいという経営側の判断もできます。3月のマインドガーデンの影響も否定できません。

 もうひとつはミツワビルのいづらさ。ビルのある外神田1丁目は観光地の要素が強く、メイド喫茶に関してもリピータもオタクや地元客、メイドカフェファンよりも観光客やアイドルファン中心となっていて、常連客が付きにくい形になっています。そんな中、観光地として家賃の相場が上がっており、ミツワビルではさらに家賃の値上げだけではなく、マーケティング的に店舗を増やしたい@ほぉ〜むグループのプレッシャーがあります。

 そして、もうひとつ。競合の存在。正統派のメイドカフェとしての価値はこれまでキュアメイドカフェが競合程度でしたが、メイドカフェファンの中ではキュアのファミレス的なマニュアルに否定的なファンが少なくなくくろすろ〜どの方がよいという意見もありました。しかし昨年末の金魚茶屋ポワソンルージュの開店により、正統派のクオリティとしても競合が上回る現象が発生し、改善するにも限界が見えたことがあげらます。

 こうして、お店を経営する上で必要なマーケティングの3C分析では市場(customer)=×、自社(company)=×、競合(competitor)=×とくろすろーどを巡る状況は厳しいもの。経営側の判断で閉店という結論にたどり着いたのだと思います。

 機会があれば別の場所での再開と意欲があるようなので、ぜひとも復活を期待します。11日にお店にお邪魔してみましたが、ラウンジは満席でした。

 そして次の注目は、この場所に@ほぉ〜む系のお店がいつできるか?
 @は地方への展開を失敗しており、現在のままでは観光地の秋葉原を最大限利用して、どう秋葉原で多くの店舗を展開できるかが、企業の成長のカギとなってきています。となれば、くろすの空いた場所を見過ごすわけはありません。

<参考記事>
ヴィクトリアなカフェくろすろ〜ど、パワーアップして改装オープン
2007年秋葉原のメイドカフェがいきなり減少
メイドさんのいるカフェ「くろすろ〜ど」、オープン