27日の産経新聞に「アキバに潜む闇のサイクル 万引→中古店に転売→メード喫茶→宿はネットカフェ」と題する記事が掲載された。記者は社会部の桜井紀雄さん、ググると2chネタの記事が目立つ。今回も事実よりも話題性を優先した釣り記事となっている。
 記事によると、最近の秋葉原では、万引きしたゲームソフトやDVDを中古屋に転売し、そのお金でメイド喫茶に行き、ネットカフェに泊まるという、アキバで完結する犯罪サイクルができているという。

 この記事の元になっているものは、新聞で報道されたネットカフェ難民と秋葉原で万引きが増えているという情報。確かに秋葉原では記事が指摘するよう、万引き事件が萌えブーム以降増えている。

 が、万引き→中古屋転売→遊ぶというサイクルは秋葉原に限らず、都市部で以前から問題となっていた。よくあるモデルとしては店内がバイト中心で店舗運営が甘いFC店を舞台に、TSUTAYAで万引き、ブックオフで転売、ゲーセンで消費というDQNサイクル。このサイクルがあまりにも横行したためか、TSUTAYAとブックオフは同じ地区には出店しない、といういかにもなジンクスまである。

 この記事の問題は、
インターネットカフェを泊まり歩く住所不定、無職の「ネットカフェ難民」と呼ばれる若者らが犯行を重ねていたり、転売で得た金でメード喫茶に行くオタクもいて
という、裏づけがない記述。

 ネットカフェ難民は、この手のお店の価格競争によって、安く利用できるからで、AKB48のチケット入手に代表されるイベントの並びのためや仕事としてのニーズの高い秋葉原ではネットカフェの価格競争が起こらず、いわゆるネットカフェ難民が生まれにくい地域となっている。またネットカフェを利用するために身分証明書が必要な店舗もある。あまりの高さにネットカフェを諦め野宿する人がいるらしいし、マクド難民の可能性はあるが・・・

 それ以上に問題なのは、メイド喫茶に行くオタクというくだりで、これは秋葉原での犯罪の多くが、それまで秋葉原を利用していたいわゆるオタクではなく、萌えブームで秋葉原に来るようになった非ヲタ層である。現にこれまでテレビなどで報道されてきたメイドさん拉致やわいせつ、窃盗行為はいずれもオタクとは関係のないものが犯罪を犯した。

 ポイントを整理すると、
・記事に書かれているサイクルは秋葉原より他の都市部で実行しやすい
・秋葉原ではオタクよりも非ヲタが犯罪を起こす傾向が強い
・秋葉原にはネットカフェ難民が生まれにくい

 だいたい秋葉原で販売されているゲームやDVDを利用するのであれば、限定版を仕入れて、ネットオークションで捌くほうが、確実で安全。

<参考サイト>
アキバで万引き横行 転売でメイド喫茶通いのオタクも
ネットカフェ難民(wiki)
コーヒー1杯で「宿泊」 「マック難民」が急増(J-CAST)

<参考ブログ>
ネットカフェ難民はアキバだけでなく全国的に拡大しつつあるそうです。(BlueRose・・青いバラ)
アキバに潜む闇のサイクル(かつブログ)
秋葉原で万引品転売が激増(オタクの心根)
落胆(ゆうたの日常 〜END OF THE YUTA〜)